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ローカルのまちづくりとは ~地方創生・SDGsから紐解くまちづくり~

本ブログ記事の主要テーマのひとつである「まちづくり」。地域活性化や地方創生、ローカルSDGs等の様々な場面で登場するキーワードではありますが、定義や範囲等について明確な決まり事はないようです。本記事では様々な観点からまちづくりについて説明し、まちづくりを身近にし、一人でも多くの人に興味を持ってもらいまちづくりに参画していただければ幸いです。

目次

まちづくりの定義と歴史

はじめに、まちづくりの歴史と定義を振り返りながら解説していきます。

まちづくりの歴史

古くは1970年以前より、都市計画を中心とした行政主導のハード面(道路・公共建築物等)を中心としたトップダウン型が中心でした。しかし、1970年以降は住民主導の流れが生まれ、ソフト面を重視したまちづくりも活発化してきました。

まちづくりの定義

全国には様々なまちがあり、人口規模・歴史・風土・文化の違いがあり定義付けるのが難しくあるのですが、佐藤滋によると「まちづくりとは、地域社会に存在する資源を基礎として、多様な主体が連携、協力して身近な居住環境を漸進的に改善し、まちの活力と魅力を高め生活の質を向上させる一連の持続的な活動」と定義付けられています。

そのまちに住む住民が色々な人と協力して、皆がいきいきと生活できる暮らしやすく魅力的なまちをつくること」と言うとイメージしやすいかと思います。

また、まちづくりでは「まちづくりはひとづくり」の言葉もあるように、担い手であるプレーヤーの育成も重要です。

まちづくりに取り組むべき理由

地域によっては少子高齢化、人口減少を要因とするまちの活力の低下、コミュニティの希薄化、地域経済の衰退等の様々な社会課題が存在すると思います。近年、SDGsの観点からも持続可能性(サステナビリティ)が注目されていますが、これらの社会課題を放置することで、まちの持続可能性が失われる可能性があります。

先ほどの「まちづくりの定義」からも、まちの課題を解決するために、まちに暮らす住民が自分事として主体的に取り組むことが必要であるかと思います。住みやすい生活環境・生活の質の向上の恩恵を受けるのは、そこに暮らす住民達自身にとってもメリットがあります。

行政が何とかしてくれるはず・・という行政頼みの気持ちも出てきそうですが、2014年に日本創生会議において「2040年までに日本の過半数となる896の地方自治体では消滅の可能性が高い」との見解を示した増田レポートが発表されました。

地方(自治体)消滅が語られる以上、行政頼りというわけにもいきません。民間の活力も活かした、まちづくりに取り組むことで自分達が住み暮らすまちの魅力と活力を高め持続可能なまちを目指す必要があります。

地方創生とまちづくり

「まちづくりに取り組むべき理由」でも述べましたが地方においては、少子高齢化及び人口減少の流れのなかで地域の活力が失われつつあります。特に東京一極集中等で語られるように若者世代の都市部への進学及び就職をきっかけとした人口移動が理由の一つです。

地方においても移住定住の取り組み等を行っていますが、東京一極集中を解消できるほどの効果は生み出せていません。このような社会課題を抱えるなか、地域を活性化し「活力ある日本社会」の維持を目的に「地方創生」が掲げられました。

4つの基本目標

1.稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
2.地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる
3.結婚・出産・子育ての希望をかなえる
4.ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

上記の目標をもとに関係人口等の推進が行われています。地域経済循環率の向上等も地域経済活性化のために重要な考え方になると思われます。

参考:内閣官房・内閣府総合サイト「関係人口の創出・拡大」

2つの横断目標

1.多様な人材の活躍を推進する
2.新しい時代の流れを力にする

上記の目標をもとにテレワークの推進、副業の解禁が進められました。パラレルワーカーやリモートワーカーが増えることで、地方に移住しながら、都市部の企業に勤めたり、ワーケーションの推進により地域活性化につながる等、多様な働き方が生まれることで地域活性化にもつながることが期待されます。

まち・ひと・しごと創生基本方針2021

新型コロナウイルスを契機にしたテレワークの推進、地方回帰の流れも生まれるなか、「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」においてはまち・ひと・しごと創生総合戦略における4つの基本目標と2つの横断目標を推進するために下記の地方創生の3つの視点「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」が打ち出されました。

1.ヒューマン:地方へのひとの流れの創出、人材支援

①地方創生テレワークの推進 
②企業の地方移転等の促進 
③地域への人材支援の充実
④子育て世帯の移住等の更なる推進 
⑤関係人口の更なる創出・拡大 
⑥魅力ある地方大学の創出

2.デジタル:地方創生に資するDXの推進

①5Gなどの情報通信基盤の早期整備 
②デジタル分野の人材支援 
③データ活用基盤の整備 
④DX推進による地域課題の解決、地域の魅力向上

3.グリーン:地方が牽引する脱炭素社会の実現

①グリーン分野の人材支援 
②関連情報の共有や官民協働の取組の推進 
③地方創生SDGs等の推進 
④地域社会・経済を支える分野における脱炭素化の取組の推進

まち・ひと・しごと創生基本方針2021が目指すもの

上記のように、国の施策としても地方創生を重点戦略として定めており、SDGs及びsociety5.0、テレワークの活用による地方移住の実現、関係人口等の新たな人の流れ作り等に力を入れていくことが確認できます。

ローカルSDGsとまちづくり

SDGsとまちづくり

また、SDGsにおいてもまちづくりと関連性が深く、地方創生SDGs・ローカルSDGs(地域循環共生圏)のキーワードで語られることがあります。まちづくりに明確な定義が特に定められていない現状、SDGsを活かしたまちづくりも一つのアプローチです。経済・社会・環境のバランスがとれた発展を遂げたまち。すなわち、SDGsの各種ゴールを達成できたならば、誰一人取り残されない「いいまち」であると言えることができるでしょう。
実際にSDGs未来都市として選定を受けSDGsをまちづくりに取り入れている自治体もあります。

参考:地方創生SDGs・「環境未来都市」構想・広域連携SDGsモデル事業

ローカルSDGs(地域循環共生圏)とまちづくり

ローカルSDGsにおいては各地域が経済・社会・環境のバランスを取りながら、持続可能な自立したまちを目指すと定義され、従来の「モノ」消費型のスタイルより、地域特有の資源を活用した「コト」消費。大企業や都市部の生み出したサービスやコンテンツを享受するのみでなく、そのまちならではのコンテンツを自ら創造し、高価値を生み出し創造していくスタイルもまちづくりでは有効ではないでしょうか。当然に都市対地方という二項対立ではなく、関係人口等の取り組みも実践しながら都市と地方の良さを融合しつつ、多様な創造及び消費形態を含めたライフスタイルを提案し、まちを発展させる視点も必要であると思います。

ローカルSDGs(地域循環共生圏)については下記の過去記事で解説していますのであわせてご覧ください。

まとめ ~都市×地方 多様なライフスタイル~

まちづくりの定義から、まちづくりに取り組むべき理由を解説しつつ、近年の国の地方創生戦略やSDGsとの関連性からまちづくりについて述べさせていただきました。地方創生やまちづくりは都市か地方かの二項対立を促すことではなく、多様なライフスタイルの実現を目指すものではないでしょうか。

移住定住のように必ず、そのまちに住むことを求めるのではなく、関係人口のように緩くつながることができたり、ワーケーションで地方の自然を満喫しながら仕事をすることができたりと。(その結果論として移住定住につながることもあるかもしれません)今までの固定概念にとらわれることなく、多様な人が地方とまちに関わることにより何か面白いことが生まれたり、地域活性化につながるのではないかと思います

地域の特性を活かした様々なコンテンツが各地域で生まれることで選択の多様性が生まれ地方(ローカル)と関わろうという人が増えていくのではないでしょうか。都市部では娯楽等のコンテンツも充実していますが、時には地方ならではのコンテンツを楽しむという余暇の過ごし方も魅力的かもしれません。まだまだ、まちづくりについては深掘りする要素があるため引き続き、本ブログで記事を執筆できればと思っています。

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